王様とひつじ 180106

スープをすすっている王様にアメリは聞きました。

「王様、旗は作らないの?」

これまで新しい国を作るとき目印のように大きくて立派な旗が立っていたのをアメリは何度も見てきました。
だから王様が「建国だ!」と言ってからずっとアメリは旗が立つものだとばかり思っていました。

「旗?
なんで?」

王様は不思議そうにアメリを見ました。

「目印に…」

あまりの答えにアメリはもしかして自分が間違っていたのかな、と思いました。

「目印?
俺の国はここにあるぞ?
王様はここにいるぞ?」

うんうん、とアメリはうなずきました。

「必要ある?」

「え」

「だってこの国の王様は俺」

「うん」

「国民はひつじのアメリ一匹」

「うん」

「旗を立てる必要がある?」

「でも……」

アメリはなにも言い返せませんでしたが、寂しくなりました。

「旗があったら、ここにあたいたちの国がある、って見てわかるから」

王様は静かにアメリを見ました。
アメリはどうしたらいいかわからなくて、不安そうな顔をしていました。
王様はスープが入っているカップを置き、リュックの中を探って赤いバンダナを取り出し、立ち上がってちょっとうろついて手頃な木の枝を見つけました。
そしてまたさっきと同じところに座り直すと、枝にバンダナの角を2つ結びつけ、アメリの目の前で振りました。

「今はこれでいい」

そう言うと、テントの上に赤いバンダナの旗を刺しました。

「旗っていろいろ面倒なんだよね。
色やデザインも考えなくちゃならないし。
それってもっと国を作ってから考えようよ。
どんな国にしたいか見えてきたら、作ろう」

「うん」

アメリはテントの上を見上げました。
王様とアメリと2人しかいないこの国はここにあるのだと実感することができました。
嬉しくてによーっと笑っていたのを王様がこっそり見て微笑んでいました。




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